東京地裁民事第45部(石井浩裁判長)で、星野ビデオ国賠訴訟第10回弁論が開かれる。これは、星野文昭の一審で、証拠採用されたビデオテープ2巻を警視庁公安部が、「紛失」したことに対し、東京都と国の責任を追及する裁判だ。
これまでに提出された被告の東京都と国の「準備書面」は、重要な証拠が映っている可能性のある証拠物を「紛失」したことに対して、無責任を決めこむという、怒りなしに読めないものだ。
国の「準備書面」(4)は、裁判官が損害賠償請求で責任を問われるのは「違法又は不当な目的をもって権限を行使」したなど特別な場合であるが、今回はそうではないと基本的に答弁を拒否している。 そもそも国側は、なぜビデオテープを警視庁に保管委託したのかという釈明要求に、裁判所にはビデオテープを保管するための特別な設備がないからだ等という居直った答弁をしてきた。
他方、被告東京都の「準備書面」(3)では重要な事実が明らかになった。①本件ビデオテープのダビングテープは存在しない。②ビデオテープの管理責任者は、保管を開始した公安総務課長である。③「帳簿は作成したのか。どこで保管したのか。保管状況は定期的に確認していたのか」などの釈明要求に、「帳簿がないため回答できない」と回答してきた。本件ビデオテープは、通常の証拠品のように、帳簿を作り、毎月一回の点検が実施されてはいなかったのだ。
これは、裁判所と警視庁公安総務課長が証拠を隠滅したということではないのか。次回のビデオ国賠は、12月25日、10時20分から。東京地裁民事527法廷で行なわれる。