新聞クリップ

2012.1.20 〜 2.23

● 格闘訓練で自衛官死亡 上官らの「不起訴不当」札幌検察審=北海道
 札幌市南区の陸上自衛隊真駒内駐屯地で2006年、1等陸士の島袋英吉さん(当時20歳)が格闘訓練で死亡した事故を巡り、業務上過失致死容疑に問われた当時の上官ら3人を不起訴とした札幌地検の処分に対し、札幌検察審査会は不起訴不当と議決した。議決書などによると、島袋さんは同年11月21日、格闘訓練で同僚隊員の投げ技で後頭部を強打し、翌日に外傷性硬膜下血腫などで死亡した。議決書では「危険で無理な訓練を強いた」と指摘。所属部隊の隊長についても「部下の指導教官らに熟練度に応じた訓練方法を指示することを怠った」とした。事故後、指導教官や同僚隊員は書類送検され、隊長も遺族に告訴されたが、同地検はいずれも不起訴としていた。この事故では、安全配慮義務を怠ったとして島袋さんの両親が国を相手取り約9200万円の損害賠償を求めて提訴しており、札幌地裁で現在、係争中。(読売1.20)

● 革手錠 2審も違法性認定 名古屋高裁 
 名古屋刑務所(愛知県みよし市)の刑務官による暴行事件を巡り、革手錠を締められ死傷するなどした元受刑者と受刑者遺族の計5人が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が24日、名古屋高裁であった。中村直文裁判長(退官のため林道春裁判長代読)は「革手錠で受刑者に苦痛を与え、刑務所の規律を維持しようとした」と述べ、革手錠使用の違法性を認定し、国に計約8900万円の支払いを命じた1審・名古屋地裁判決を支持して、国側の控訴を棄却した。判決によると、受刑者2人は2002年5月と9月、保護房で腹部を革手錠できつく締められ死傷、もう1人は01?02年、4回にわたって革手錠を締められた影響で心的外傷後ストレス障害になった。原告側は当時の所長らも相手取って提訴したが、1審は、公務員が職務で他人に損害を与えた場合、国などに賠償責任があるとする国家賠償法の規定などから、公務員個人に損害賠償を請求できないと判断。原告側が控訴しなかったため、所長らは控訴審では当事者になっていない。(読売1.25)

● 大阪拘置所 地検が捜索 弁護人宛て手紙押収
被告「秘密の侵害」提訴へ
 公判中の被告が弁護人に送ろうとした手紙などを大阪地検が拘置所での家宅捜索で押収したのは接見交通権(秘密交通権)の侵害にあたるとして、この被告が国に慰謝料などを求める国家賠償請求訴訟を今春にも大阪地裁に起こす方針を固めた。大阪弁護士会刑事弁護委員会は27日、「刑事弁護の根幹を揺るがすのぞき見行為だ」として、委員の弁護士を被告の訴訟の代理人に加える支援を決めた。提訴するのは、大阪府柏原市で2008年9月に起きたパチンコ店強盗事件で強盗罪などに問われた無職石田利晃被告(41)(1審実刑、控訴審中)。2審で弁護人を務める同弁護士会の山本了宣(りょうせん)弁護士によると、石田被告は捜査時にパチンコ店強盗への関与を認めたが、同地裁での1審の途中で否認。地検は否認後の10年7月、この事件を巡り大阪拘置所内の石田被告の居室などを捜索し、所持品など計47点を押収した。石田被告側が特に問題視する押収物は、1審の弁護人に送ろうとした手紙1通や多数の書き損じ。手紙は弁護人の名字に「先生」を付けて書き出し、取り調べた検事の言動への不満などを記していた。書き損じには事件関係者の調書に対する疑問点などを書いていたという。山本弁護士は「内容から手紙が弁護人宛てなのは一目で分かる。こういった押収を許せば、被告や弁護士の考えが検察側に筒抜けになり、弁護活動に大きく影響する」と話している。石田被告の1審では、大阪府警の捜査員と石田被告の間に「強盗を自白すれば覚醒剤事件を起訴しない」と約束する取引があった疑いが指摘された。大阪高裁の控訴審では、石田被告の共犯とされた受刑者が証人出廷し、捜査段階の供述を翻して「実行犯は(石田被告でなく)自分と別の男だった」と証言している。(読売1.28)

● 元警部補と交際女性の控訴棄却
 元県警警部補の大河原宗平氏との不適切な交際を調査すると称し、県警から個人情報の収集、自宅の監視、写真撮影をされ、精神的苦痛を受けたなどとして、高崎市内の女性が県を相手取り、1000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であり、奥田隆文裁判長は「請求はすべて理由がなく、失当である」などとして、請求を棄却した1審・前橋地裁判決を支持し、控訴を棄却した。女性は控訴審で損害賠償請求金額を700万円に減額していた。(読売2.1)

● シスターと面会不許可は「違法」、国に支払い命令
 シスターとの面会を許可しなかったのは基本的人権の侵害にあたるとして、岐阜刑務所の男性受刑者が40万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が2日、岐阜地裁であった。多田尚史裁判官は「宗教関係者との面会の必要性を安易に否定することは適切ではない」として国に1万円の支払いを命じた。判決によると、男性受刑者は2010年9月、名古屋修道院院長のシスターら2人との面会許可を申請したが、同刑務所長は許可しなかった。刑事収容施設法では、矯正処遇に支障が出る恐れのない限り、受刑者の面会を認めている。同刑務所が許可しなかったことについて判決は「法令の解釈を誤った違法な公権力の行使に当たる」と判断した。(読売2.3)

● 「強姦未遂事実ない」 元少年 被害者を提訴
 静岡県御殿場市で2001年9月、少女(当時15歳)に乱暴しようとしたとして強姦(ごうかん)未遂罪に問われ、最高裁で有罪が確定して服役した当時16?17歳の元少年4人が、「虚偽の被害申告などで有罪判決を受け、精神的苦痛を受けた」として、被害者とされた女性に計2000万円の損害賠償を求める訴えを静岡地裁沼津支部に起こした。提訴は昨年12月21日付。訴状によると、元少年らは「強姦未遂の事実は全くない」と主張。取り調べや公判などで女性が虚偽の証言を撤回しなかったため、有罪判決で服役し、精神的苦痛と財産的損害を受けたなどとしている。(読売2.6)

● 村木さん 賠償金寄付3000万円 社会福祉法人に
 郵便不正事件で無罪が確定した厚生労働省元局長で内閣府政策統括官の村木厚子さん(56)が、違法捜査の責任を認めた国からの賠償金約3000万円を、長崎県雲仙市の社会福祉法人「南高愛隣会」に寄付する意向を示していることが分かった。同法人によると、田島良昭理事長が旧労働省の障害者雇用対策課長だった村木さんと旧知の仲で、村木さんが起こした国家賠償請求訴訟では支援組織の代表を務めた。国側は昨年10月、約3770万円の支払いを受け入れており、弁護士費用などを除いた全額が寄付されることになる。(読売2.18)

● 死亡事故無罪の男性 損害賠償求め提訴 
 札幌市の国道交差点で2009年2月、衝突事故で歩行者ら6人を死傷させたとして自動車運転過失致死傷罪に問われ、2審・札幌高裁で無罪が確定した同市南区の無職若松哲広さん(61)が、「警察や検察の違法捜査で精神的苦痛を受けた」として、国や道に約1500万円の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴した。若松さんは1審で禁錮3年の実刑判決を受けたが、同高裁は10年7月、「事故の目撃証言の信用性に疑問がある」として無罪を言い渡した。若松さんは「警察官や副検事が目撃者の供述を誘導し、(若松さんに)虚偽の事実を述べて執拗(しつよう)に自白を迫った」と主張している。(読売2.21)

● 海自3曹自殺 国が和解金 地裁で成立 謝罪、
 海上自衛隊佐世保基地の護衛艦「さわぎり」内で自殺した男性3曹(当時21歳)の妻子(大分県)が、「3曹の命を保護する義務を怠った」として国に約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟は21日、長崎地裁佐世保支部(菊地浩明裁判長)で和解が成立した。国側が和解金を支払い、謝罪や再発防止に取り組む内容。金額は明らかにされていないが、原告側代理人は「要求がほぼ認められ、納得できる額」としている。訴状によると、3曹は上官の2曹に「バカかお前は。3曹失格だ」「仕事の覚えが悪いな」などと叱責されてうつ病になり、1999年11月に自殺した。国側が「3曹が職務に適応できなかったことなども原因」と過失相殺による減額を求めたのに対し、原告側は「原因はあくまで上官の暴言」と主張。同支部は昨年5月、3曹の仕事ぶりを評価したメモなどの証拠を採用し、過失相殺は認めない和解案を示していた。3曹の自殺を巡っては、両親が2001年、損害賠償を求めて提訴。同支部は請求を棄却したが、福岡高裁は08年、上官の言動と自殺の因果関係を認めて国に350万円の支払いを命じ、判決が確定した。3曹の妻(30歳代)は「長かった訴訟がようやく終わり、心の整理がついた。二度と同じことが起きないよう願っています」とのコメントを出した。(読売2.22)

● 長時間の任意聴取 捜査違法と認め賠償命令
 覚醒剤取締法違反(使用)に問われ、無罪となった松山市内の配管作業員男性(35)が「警察の任意聴取で長時間留め置かれるなどした」として、県を相手取り300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、地裁であった。浜口浩裁判長は「許容限度を超えた違法な身体拘束だった」などとし、刑事補償金を除く約170万円の支払いを県に命じた。判決によると、男性は2009年5月12日未明、暴力行為等処罰法違反事件を巡って松山東署員の任意同行に応じ、署内で約10時間にわたって聴取を受けた。署員が覚醒剤の注射痕を確認するため、男性を羽交い締めにした行為について、浜口裁判長は「身体検査令状なく行われ、違法と評価せざるを得ない」と認定。強制採尿令状請求の際、注射痕がないことがわかっていたのに、署員が地裁への報告書に確認できないと記載したことも違法とした。(読売2.23)

2012.3・3 ― 4・20

● 裁判員裁判で「無罪」 大阪高裁が差し戻し 「明らかに不合理」
 トルコから覚醒剤を密輸入したとして、覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)などに問われ、1審・大阪地裁の裁判員裁判で無罪(求刑・懲役18年、罰金800万円)となったイラン国籍のアブディ・スマイル被告(43)の控訴審判決が2日、大阪高裁であった。松本芳希裁判長(米山正明裁判長代読)は「1審判決は明らかに不合理」として破棄し、審理を同地裁に差し戻した。松本裁判長は自ら有罪・無罪を判断しなかった理由について「国民の意見を反映させる裁判員制度の趣旨を考慮すると、差し戻し、再び裁判員裁判に委ねるのが相当だ」と述べた。(読売3.3)

● 「裁判員」法改正提言
 裁判員制度が5月に施行3年の見直し時期を迎えるのを前に、日本弁護士連合会は15日、被告の権利保障のための法改正などを求める提言を発表した。裁判員裁判の対象は殺人や放火などの重大事件に限定されているが、提言では、痴漢事件や交通事故などの否認事件で、被告側が希望した場合には対象に含めるべきだとした。また、死刑判決は特に慎重さを要するとして、多数決ではなく、裁判員と裁判官の全員一致の場合に限る制度に変えるよう求めた。(読売3.16)

● 誤認逮捕の男性に補償金支払い手続き
 桑名署が昨年4月、男性(29)を置き引きの容疑者として誤認逮捕した問題で、津地検は15日、男性への補償金支払い手続きを9日に行ったと発表した。津地検は、男性の身柄を拘束した7日間の補償金として計8万7500円を支払うことを裁定し、先月、男性からの支払い申立書を受理していた。補償金額は、法務省が定める被疑者補償規定の満額となっている。(読売3.16)

●布川事件2人に刑事補償 各1億3000万円
 利根町布川(ふかわ)で1967年、男性が殺害された「布川事件」で、昨年6月に再審無罪が確定した桜井昌司さん(65)と杉山卓男さん(65)に対し、水戸地裁土浦支部(神田大助裁判長)は2人の請求通り、それぞれ約1億3000万円の刑事補償を支払う決定を出した。決定は5日付。1週間の不服申し立て期間を経て13日付で確定した。2人は昨年8月、逮捕から仮釈放まで約29年分の刑事補償として、それぞれ上限額の約1億3000万円を請求。水戸地検は2人が別件の余罪について有罪判決を受けたことを挙げ、「有罪部分の捜査・審理に必要だった期間は補償の対象にしないことができる」として減額を求めたが、同支部は「強盗殺人事件による身柄拘束」と判断した。2人は67年10月に逮捕され、78年7月に最高裁で無期懲役刑が確定、96年11月に仮釈放された。(読売3.16)

● 奈良警官発砲死 2審も賠償棄却
 奈良県大和郡山市で2003年、車上荒らしの容疑を受けた逃走車の助手席にいた男性(当時28歳)が県警側の発砲で死亡した事件を巡り、男性の母親(74)が、県と警察官4人に約1億1800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が16日、大阪高裁であった。安原清蔵(きよぞう)裁判長は「逃走を阻止するには発砲以外の方法はなく適法だった」として、請求を棄却した1審・奈良地裁判決を支持、母親側の控訴を棄却した。母親側は上告する方針。事件では命中させた警察官2人が奈良地裁の付審判決定を受け、裁判員裁判で殺人罪などが審理されたが、2月、発砲に違法性はないとして無罪判決を受けた。(読売3.17)

● 陸自の監視「人格権侵害」 国に賠償命令 
 陸上自衛隊の情報保全隊に市民活動を監視され、人権を侵害されたなどとして、東北6県の107人が監視活動の差し止めと計1億700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、仙台地裁であった。畑一郎裁判長は、原告のうち自衛隊の内部文書に実名などを記載された5人について、人格権の侵害にあたるとして計30万円の支払いを国に命じた。監視活動の差し止めは却下した。国側は内部文書の存在について認否を拒否していたが、判決は内部文書と認定。5人については「氏名、職業、所属政党などの思想信条に直結する個人情報を収集している」と指摘した。その上で「国は、正当な目的や必要性を示す具体的な主張をしておらず、自己の個人情報を収集・保有されないという、個人情報をコントロールする権利である人格権の侵害にあたり、違法とみるほかない」と結論づけた。監視活動の差し止め却下については、「差し止め対象(となる監視活動)の特定を欠いている」とした。同隊の活動を巡っては、共産党が07年、自衛隊関係者から入手したとして、イラク派遣に関する内部文書を公表していた。(読売3.27)

● 死刑 3人執行 法相 「裁判員支持で決断」
 1年8か月もの空白を経て、29日午前、死刑が再開された。直後に記者会見した小川法相は、「裁判員裁判で死刑が支持されているから」と決断の理由を説明。長く執行を待ち望んできた被害者遺族が安堵する一方で、死刑廃止を訴える団体からは「死刑存廃の議論を打ち切ってまで執行するのか」と反発の声が上がった。「犯罪に対して、どのような刑罰で臨むかを決める権利は国民にある。世論調査で85%の国民が死刑を支持している」。まず世論の支持を強調した後、すでに10人以上に死刑を言い渡している裁判員裁判に言及し、「国民の声を反映するための制度で死刑が支持されている。それなら職責を果たすのが大臣の務めだと思う」と語った。死刑執行命令書にサインすることにためらいはなかったかと問われると、「つらい職務だという気持ちは持っているが、職責だ」と答えた。民主党政権下で執行を命じない大臣が続いていたことについては、「論評する立場にない」と言及を避けた。(読売3.29)

● 死刑場掲載誌「閲読不許可は違法」死刑囚が提訴
 1966年に福岡市で起きた強盗殺人放火事件で死刑が確定し、第6次再審請求中の尾田信夫死刑囚(65)と弁護人は3日、死刑を執行する刑場の写真が載った機関誌の閲読を福岡拘置所が不許可としたのは接見交通権侵害にあたり違法として国家賠償請求訴訟を福岡地裁に起こした。訴状によると、再審請求の弁護人を務める弁護士が東京拘置所の刑場の写真が掲載された団体機関誌を郵送。拘置所はこの写真を消して交付することへの同意を求めたが、尾田死刑囚は拒否し、閲読は不許可とされた。(読売4.4)

● 特捜可視化97% 容疑者が供述拒む弊害も 
 最高検は5日、大阪地検特捜部の不祥事を受けた検察改革が昨年4月に始まってから1年になるのを機に、改革の進行状況を発表した。取り調べの録音・録画(可視化)は、各地検の特捜部などが逮捕した容疑者のうち97%で実施したが、カメラを意識して供述を拒まれるなど、可視化の弊害が表れたケースもあったとした。3地検の特捜部と10地検の特別刑事部では、「取り調べの適正さが示せる」として、逮捕した独自捜査事件の原則全件で可視化を試行。録画したのは今年2月までの約10か月間で、逮捕した延べ69人のうち67人に上り、うち39人は一部だけの録画だった。中には、カメラを意識して「共犯者が見る可能性があるならやめてほしい」と録画の中断を申し出た例や、録画中は事件に絡む暴力団関係者らの名前を話すのを拒んだ例があったという。一方、逮捕から起訴まで全過程を可視化したのは、延べ28人。ただ、他人のプライバシーに関わる情報を容疑者に告げて取り調べるのが困難だった例もあったといい、最高検では「可視化はプラスだとの意識も広がっているが、現場の悩みは多い」としている。可視化しなかった同2人は最初から録画を拒否した。最高検は、別途試行している裁判員裁判対象事件や、知的障害者の事件での状況も踏まえ、6月に可視化の検証結果をまとめる。(読売4.6)

● 裁判員経験者が制度改善を地裁に提言 
 裁判員を経験した東京都練馬区の不動産業田口真義さん(36)が18日、長崎地裁に裁判員制度の改善点をまとめた提言書を提出した。田口さんは2010年9月、保護責任者遺棄致死罪などに問われた元俳優の東京地裁の裁判員裁判に参加。その後も裁判の傍聴や経験者同士の交流を続け、千葉や仙台などの経験者4人とともに、市民の視点で感じた制度の課題などを指摘する提言書を作成。今年1月から各地の地裁や地裁支部を訪れて提出しており、月内に裁判員裁判を実施している全60か所を回り終える予定という。提言書では、〈1〉検察は原則として証拠を全て開示する〈2〉裁判員から検察官、弁護士への質問を可能にする〈3〉裁判員裁判を民事、行政訴訟にも広げて運用する??など13項目を求めている。田口さんは「経験者やこれから経験する人が、制度について活発に議論するきっかけになれば」と話していた。(読売4.20)

2012.5.22〜6.26

● 裁判員制度で民放連が声明
 日本民間放送連盟は21日、裁判員制度の開始から満3年を機に、裁判終了直後の記者会見で録音・録画を可能にするよう求める声明を発表した。声明によると、裁判所内での会見では、冒頭の無音の撮影を除いて録音・録画が禁じられているため、その終了後に、録音・録画に同意した裁判員経験者を対象とする会見を改めて実施しており、「裁判員経験者の負担を軽減するためにも、会見は1度で終了できれば」としている。(読売5.22)

● 布川事件・桜井さん 国家賠償を提訴へ
 茨城県利根町布川(ふかわ)で1967年に発生した「布川事件」で強盗殺人罪に問われ、再審無罪が確定した桜井昌司さん(65)が、今秋にも国家賠償訴訟を起こすことが23日わかった。請求額は今後検討する。別件の窃盗容疑で逮捕された日付と同じ10月10日の提訴を想定している。(読売5.23)

● 光母子殺害 手紙の無断掲載 「不法行為」 
  広島地裁 実名本著者の取材指弾
 山口県光市の母子殺害事件で、犯行当時18歳だった大月(旧姓・福田)孝行死刑囚(31)(殺人罪などで死刑判決が確定)の実名を記載した本の著者と出版元に対し、プライバシー権を侵害したなどとして66万円の損害賠償を命じた23日の広島地裁判決で、植屋伸一裁判長(森崎英二裁判長代読)は、大月死刑囚の手紙を無断で掲載するなど、取材過程での著者の行動を「不法行為」と断じた。植屋裁判長は判決で、増田美智子さん(31)(東京都)が書き、「インシデンツ」(同)が出版した「福田君を殺して何になる?光市母子殺害事件の陥穽(かんせい)?」に、大月死刑囚の顔写真や増田さん宛ての手紙の写真を掲載したことについて、「(少年犯罪で加害者の実名報道を禁じた)少年法61条に形式的に該当する報道で、プライバシー権や肖像権を侵害する」と認定した。そのうえで、大月死刑囚が増田さんに送った手紙を無断で週刊誌の記者に提供したり、同死刑囚への知人の手紙を同意なしに本に掲載したりしたとし、増田さんの賠償責任を認めた。一方、出版差し止め請求については、大月死刑囚が〈1〉出版時に28歳の成人だった〈2〉すでに死刑判決が確定している〈3〉実名使用を承諾していた??などの点を指摘。事件が悪質で社会的影響も大きいことなどを考慮したうえで、「本の出版で大月死刑囚が重大な損失を受ける恐れがあったとは認められない」と判断した。増田さんは判決後、記者会見し、「主張はほぼ認められたと思うが、損害賠償を認めるため無理やり(賠償すべき対象を)選んだ判決だ」と語った。(読売5.24)

● 刑場写真閲読 国は棄却求める
 1966年に福岡市で起きた「マルヨ無線強盗殺人放火事件」で、死刑が確定し、第6次再審請求中の尾田信夫死刑囚(65)と弁護人が、死刑執行の刑場写真を載せた機関誌の閲読を福岡拘置所から不許可とされたのは違法として、国に計660万円の支払いを求めた国家賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が11日、福岡地裁であった。国側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。(読売6.12)

● 裁判員制「原点に」 最高裁長官が強調
 全国の高裁長官と地・家裁所長が司法行政の課題を話し合う「長官所長会同」が13日、最高裁で2日間の日程で始まった。最高裁の竹崎博允長官はあいさつで、施行から3年が過ぎた裁判員制度について「国民の高い意識、誠実さに支えられ、順調に運営されている」と評価する一方で、裁判を重ねるにつれて書面に依存した従来のスタイルに戻りつつあると指摘。「国民の理解の上に運営されるという制度の原点に立ち返り、改善に努めていくことが大切だ」と強調した。(読売6.13)

● 不適切な取り調べ 和解 さいたま地裁 
 「さいたま地検による違法な取り調べで精神的損害を受けた」として、さいたま市の夫婦が国に慰謝料など計770万円を求めた国家賠償請求訴訟は13日、さいたま地裁(中西茂裁判長)で和解が成立した。原告側の代理人弁護士によると、国は取り調べに不適切な点があったと認め、慰謝料として妻に80万円、夫に50万円を支払う。訴えていたのは、同市見沼区の伊藤道子さん(54)と夫の桂三郎さん(52)。訴状によると、2人は2006年5月、強制わいせつ罪などに問われた長男(29)(最高裁で実刑確定)の同地裁での公判で、意図的に虚偽のアリバイ証言をしたとして、同年8月に同地検に偽証容疑で逮捕された。道子さんは長時間の取り調べを受けた上、検察官から「人間のくずだ」「獄死しろ」などと侮辱され、桂三郎さんは「自白すれば道子さんを早期に釈放する」などとだまされて、「虚偽の自白に追い込まれた」と主張していた。
 桂三郎さんは不起訴(起訴猶予)、道子さんは偽証罪で同地裁に起訴された。道子さんは1審の同地裁、2審の東京高裁とも無罪判決が出て、確定。8月に夫婦で提訴していた。和解後、道子さんは「ひどい取り調べだったことを国としてようやく認めた。長期間苦しんできたので区切りをつけたいと考え、和解に応じた。このようなことが繰り返されないようにしてもらいたい」とのコメントを出した。(読売6.13)

●「海自が資料隠す」3佐が陳述書提出 控訴審
 2004年に自殺した海上自衛隊の護衛艦「たちかぜ」元乗組員(当時21歳)の遺族が、先輩によるいじめが原因だったとして国などに約1億3200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審で、1審で国の指定代理人を務めた3等海佐が「海自は遺族に調査資料を隠していた」とする陳述書を東京高裁に提出していたことが分かった。海自は元乗組員の自殺後、いじめの実態把握のため隊員へのアンケート調査を実施したが、遺族による提訴前の情報公開請求に「回答結果は存在しない」として、質問項目だけ開示した。1審・横浜地裁の判決は、元2等海曹(41)(暴行罪などで有罪確定)によるいじめは認めたが、「上官らが自殺を予見できたとは言えない」として賠償額を440万円にとどめた。3佐は陳述書で「海自の担当者から『回答結果は存在するが、破棄したことになっている』と聞かされた」と言及。遺族側は「開示されていれば、1審で異なる認定がされた可能性がある」として、3佐を証人採用するよう求めているが、国は「陳述書の内容は事実と異なり信用できず、証人尋問の必要はない」と主張しており、18日の口頭弁論でも採否が決まらなかった。(読売6.19)

● 富山冤罪賠償訴訟 原告側 警官ら証人申請
 氷見市で2002年に起きた婦女暴行・同未遂の冤罪事件を巡る国家賠償請求訴訟の第15回口頭弁論が20日、富山地裁(阿多麻子裁判長)であり、原告の柳原浩さん(45)側が、当時捜査にあたった県警の警察官と科捜研職員の2人を新たに証人申請した。また、柳原さんを支援する、冤罪被害者3人が口頭弁論後に記者会見し、取り調べの可視化の徹底などを求めた。茨城県利根町布川で1967年に発生した「布川事件」で強盗殺人罪に問われ、再審無罪が確定した桜井昌司さん(65)は10月にも国賠訴訟を起こす方針。桜井さんは「国が証拠を開示しないため、いまだに真犯人扱いされることがある。証拠を全て提出してもらい検証するために国賠訴訟は重要だ」と語った。鹿児島県議選の買収容疑事件で冤罪の被害に遭った川畑幸夫さん(66)は「冤罪を防ぐには取り調べの可視化が必要だ」と強調。「警察は、特に組織を守る意識が強い組織。それを変えるためにも、柳原さんの1日も早い勝利が必要」と話した。また、足利事件で再審無罪となった菅家利和さん(65)は「これからも柳原さんを支援し続けたい」と語った。(読売6.21)

●前科で有罪立証争点 最高裁弁論 2審見直しか
 裁判員裁判で被告の前科を示しての有罪立証が許されるかどうかが争われた放火事件の上告審で、最高裁第2小法廷(竹崎博允裁判長)は、検察、被告側双方の意見を聞く弁論を7月20日に開くことを決めた。前科立証に関する新たな判断を示した上で、2審判決を見直す可能性が出てきた。無職岡本一義被告(42)は東京都葛飾区のアパートに盗みに入り、放火したとして現住建造物等放火などの罪で起訴された。1審は検察側の前科立証を「裁判員に偏見を与える」として認めず、放火は無罪としたが、2審は類似した前科の立証は許されるとして審理を差し戻し、これに対して被告側が上告していた。(読売6.23)

●団藤重光さん死去 反骨貫き 「民」に心寄せ
 ヒューマニズムと反骨精神。団藤重光さんは法の世界の巨人でありながら、この二つを生涯かけて貫いた。検事だった父親の存在が大きい。父は戦前、上からの指示で捜査を中止させられたことに抗し、辞職。岡山で弁護士になり、困窮する被告人も助けた。彼らが報酬の代わりに持ってきた植木や魚を幼い頃に見ていた団藤さんは、「『実物教育』が人格形成に大きく働きかけてくれた」と、後に著書で振り返っている。戦後、日本を代表する法学者として数々の制度や理論を作り上げたが、最高裁判事となって公害訴訟などに取り組む中で、「民」に心を寄せる姿が鮮明になっていく。法廷で「人殺し!」と叫ばれ、死刑廃止論に転じたのも、ヒューマニズムの琴線に触れたからだろう。ただ、裁判所内では「死刑確定にかかわった裁判官でありながら無責任だ」との非難が今も根強くある。裁判員制度については、特に誤判による死刑への懸念から、「知識のない人が裁判をするのは困ったもの」と批判した。「官」の方が過ちが少ないのなら、それによって「民」を守りたいという考えからだった。自ら関与し、再審開始の基準となった最高裁の「白鳥決定」を、誇りの一つにしていた。それは今月、東京電力女性社員殺害事件の再審開始決定にも結びついた。(読売6.26)

2012.7.4 〜 8.29

● 受刑者に東電が住民賠償金 福島刑務所
 東京電力福島第一原発事故の住民賠償で、福島刑務所(福島市)の受刑者約80人が東電に賠償請求し、一部の受刑者が一律8万円の賠償金を受けていたことが4日、同刑務所への取材で分かった。同刑務所によると、昨年3月11日の震災時、同刑務所には女性用の支所も含め、男女計約1700人が収監されていた。賠償金は福島県内の23市町村に昨年3月11日に生活拠点があった住民が対象で、妊婦と子供以外の大人には一律8万円が支給される。刑務所内で閲覧できる新聞などで情報を知った受刑者が、手紙などで書類を取り寄せ、賠償請求できることが知れ渡ったという。東電によると、請求書類の送付を始めた今年3月以降、同刑務所に書類送付できるか連絡したが、刑務所側から「プライバシー保護の観点から難しい」と断られ、受刑者への周知を見送ったという。東電は賠償金を受け取った人数は不明としているが、「被曝(ひばく)の恐怖にさらしてしまったことに変わりはなく、賠償の対象になる」と説明している。(読売7.4)

● 郵便物横領事件 大阪地検が無罪論告
 昨年6月、配達中の郵便物を持ち去ったとして業務上横領罪に問われた郵便事業会社のアルバイト男性(24)(休職中)について、大阪地検は10日午前、大阪地裁での公判で「犯罪を行った証明ができない」として、極めて異例の無罪論告をした。福島恵子裁判官は同日午後、無罪を言い渡した。男性は捜査段階から一貫して否認。地検は論告で「(逮捕から)33日間にわたって身柄を拘束したことを誠に申し訳なく思う」と謝罪した。男性は昨年6月24日午後2時48分、大阪市内のマンションの住人に配達予定のルームミラー1個(時価5390円相当)を横領した、として起訴された。大阪地検の大島忠郁次席検事は判決前に報道各社の取材に応じ、「不十分な証拠に基づき起訴し、申し訳ない。同じようなことを繰り返さないよう検察官らを指導したい」と謝った。捜査については「注意深く証拠をみれば(ロッカーの記録の不自然さに)気づけたと思う」と言及した。起訴を取り消すのではなく無罪論告した理由にも触れ、「無罪確定ならば二度と起訴はできない。被告に有利な道を選んだ」と述べた。(読売7.10)

● 勾留中の手紙押収「侵害」 被告ら国家賠償提訴 
 大阪地検が、公判中の被告から弁護人への手紙などを押収したのは、接見交通権(秘密交通権)の侵害にあたるなどとして、この被告と元弁護人が10日、国に慰謝料など計3300万円の支払いを求める国家賠償請求訴訟を大阪地裁に起こした。「被告と弁護人のやり取りの秘密を守るのは刑事弁護の根幹だ」として、弁護団には全国の弁護士ら約150人が参加した。訴状によると地検は、石田被告が大阪拘置所に勾留され、1審公判中だった10年7月、強盗事件に関連して拘置所内の居室などを捜索、宮下弁護士あての手紙などを差し押さえたとされる。捜索・差し押さえに必要な令状を出した大阪地裁の裁判官にも問題がある、と主張している。提訴後に記者会見した宮下弁護士は「(押収によって)一方的なのぞき見が許されれば、公平な裁判は実現できない」と語った。(読売7.11)

● 氷見の冤罪国賠 血液型不一致の鑑定
 富山県氷見市で2002年に起きた婦女暴行・同未遂の冤罪事件で、県警が被害者の衣服の付着物を鑑定した結果、冤罪で逮捕された柳原浩さん(45)の血液型と一致していなかったことが17日、柳原さんの代理人弁護士への取材で分かった。代理人は「科学的な客観的証拠を無視し、捜査に重大な過失があったことを立証する資料」として、国家賠償請求訴訟の次回口頭弁論で意見書を富山地裁に提出する。県警は「犯人と被害者のものが混合しているとの前提で鑑定をした。犯人のものとされる体液の量は微量で、犯人のものか被害者のものか特定できなかった。鑑定結果を無視したということはない」としている。(読売7.17)

●女子中学生殺害再審 検察異議に反論意見書郵送
 1986年に福井市で起きた女子中学生(当時15歳)殺害事件で、名古屋高裁金沢支部で再審開始決定を受けた前川彰司さん(47)の弁護団は18日、検察側の異議申立書や補充書に反論する意見書を名古屋高裁に郵送したことを明らかにした。郵送は17日。意見書では、前川さんの衣服に血液が付着していたとの知人らの目撃証言を、検察側が「信用できる」とした点について、「証言は激しく変遷しており、信用性は相当程度減殺されている」と主張。「検察の異議理由の不当性は明らかで棄却されるべき」としている。(読売7.19)

●職質「逃げようとした」書類にウソ書かれ 国賠提訴
 大阪府警に公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された男性(45)が、刑事裁判の判決で「逃走する様子はなく、現行犯逮捕は違法」と判断されたとして、慰謝料など330万円の支払いを府に求める国家賠償請求訴訟を大阪地裁に起こしたことがわかった。訴訟で男性側は、府警が現行犯人逮捕手続書に「逃走しようとした」とうそを記載したことがその後の勾留にもつながったと批判している。男性は10日間勾留された末、同容疑については不起訴となった。一方で、現行犯逮捕の直前、車外に投げ捨てた袋入り覚醒剤(約0・12グラム)が押収されたことから、覚醒剤取締法違反で起訴された。同地裁で行われた刑事裁判で、男性側は覚醒剤所持を認めたが「降車時に逃げてはおらず、公務執行妨害に当たらない。違法な逮捕手続きの過程で押収された覚醒剤は証拠にすべきでない」として無罪を求めた。これについて、増尾裁判官は昨年9月の判決で、「逃走する様子も、捜査員に向かう様子もなかった。職務質問に名を借りた身体拘束で、現行犯逮捕は違法だった」と指摘。ただ、「違法な現行犯逮捕と押収に密接な関連性はない」として懲役2年6月を言い渡し、確定した。しかし男性側は、判決で違法逮捕が認定されたことに加え、刑事裁判で証拠提出された現行犯人逮捕手続書に「職務質問を無視し、逃走しようとした」「(男性は)両手を振り回して捜査員の両腕を押さえつけた」などの記載があったため、今年4月、「虚偽の事実を捏造し、身体を拘束した」として国賠訴訟を起こした。(読売7.20)

● 下関女児殺害 裁判員ら状況証拠での判断苦慮 
 「裁判のことばかり考えていた」??。下関市の女児殺害事件で湖山忠志被告(28)に言い渡された25日の裁判員裁判判決。懲役30年を選択した裁判員たちは、判断の難しさを語った。
(解説)証拠評価に関する基準を示した最高裁判例(2010年)を踏まえ、「被告が犯人でないとすれば、(こうした状況証拠を)合理的に説明することは極めて困難」と結論づけた。裁判員選任から判決まで44日間を要し、公判は10回、約70時間に及んだ。裁判員には負担の大きい審理となったが、たばこの変色に関する県警の実験結果を否定するなど、検察側の主張をうのみにせず、一つ一つの証拠を丁寧に検討した姿勢が見受けられた。元東京高裁部総括判事の木谷明弁護士の話「間接証拠の重要な位置づけとなるDNAは全量消費されており、再鑑定が保証されていない。県警は鑑定の過程も記録しておらず、裁判所は、判決で厳格な扱いを求める意見を述べるべきだった」(読売7.26)

● 袴田事件、鑑定人尋問は11月から
 「袴田事件」の第2次再審請求審で、検察、弁護側双方が推薦したDNA鑑定の鑑定人2人に対する尋問が、11月から始まることが決まった。弁護団の小川秀世事務局長が31日、明らかにした。尋問は静岡地裁で非公開で行う。弁護側推薦の鑑定人尋問は11月2日、検察側推薦の鑑定人尋問は同19日の予定。当日は検察、弁護側がそれぞれの推薦鑑定人を尋問し、後日、反対尋問を行う。両鑑定人は、確定判決で袴田巌死刑囚(76)が犯行時に着ていたと認定された衣服の血痕などを鑑定したが、結論が異なっている。(読売8.1)

● 「筋弛緩剤」再審請求 2回目の事前協議
 仙台市の北陵クリニック(廃院)で2000年に起きた筋弛緩(しかん)剤事件で、無期懲役刑が確定した元准看護師・守大助受刑者(41)の再審請求について、弁護団と仙台地裁、仙台地検による三者協議入りに向けた2回目の事前協議が28日、同地裁で行われた。弁護団によると、事前協議では、有罪の物証となった被害者血液から検出されたイオンについて、弁護団は筋弛緩剤由来するものではないとする意見に対し、検察側は次回協議(12月20日)までに意見書を提出するよう努力する考えを示したという。弁護団が求めた証拠品リストの開示は、検察側が拒否した。また、守受刑者の支援者らは同日、同地裁に対し、再審開始決定を求める1万9523人分の要請署名を提出した。(読売8.29)

● 東電OL殺害 再審 10月29日に開始       
 東京電力女性社員殺害事件で無期懲役が確定したネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告(45)の再審第1回公判が、10月29日に東京高裁(小川正持裁判長)で開かれることが28日決まった。6月に帰国した元被告は出廷せず、被告不在のまま年内にも判決が出る可能性がある。再審公判は、再審開始を決定した裁判部が担当するため、検察側が元被告の犯行への関与を示す新たな証拠を出さない限り、無罪となる見通し。検察側は弁護側が請求した証拠の採用に同意する見通しだが、弁護側は「これ以上の証拠調べは必要ない」として検察側の証拠の採用には同意しない方針。証人尋問などがなければ、即日結審する可能性が高い。(読売8.29)

2012.9.7 〜 10.27

● 受刑者側に賠償命令=岐阜
 各務原市の路上で2008年9月、交通上のトラブルで男性会社員(当時48歳)が顔を殴られて死亡した事件で、男性の遺族が、傷害致死罪で懲役4年の判決が確定した男性受刑者(25)を相手取り、慰謝料など約5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が6日、岐阜地裁であった。針塚遵裁判長は、殴打と死亡との因果関係を認めたうえで、受刑者側に約2300万円の支払いを命じた。受刑者側は「死亡の原因となった頭の傷は自分がつけたものではない」と主張したが、判決は、男性が殴られてバランスを崩し、転んだ際に頭を打って死亡したとして退けた。また「ボクシングの素養があった受刑者が強い力で急所を攻撃しており、高度な危険性があった」と指摘した。(読売9.7)

● 接見交通権訴訟 国側棄却求める=北九州
 福岡拘置所小倉拘置支所(北九州市小倉北区)の接見室で、携帯電話のカメラ機能で撮影した被告人の画像を刑務官が消去するよう強く求めたのは、刑事訴訟法で認められた接見交通権の侵害にあたるとして、同市の田辺匡彦弁護士が国に慰謝料約330万円の支払いを求めた損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が13日、福岡地裁小倉支部であり、国側は請求の棄却を求めた。訴状によると、田辺弁護士は2月、国選弁護人として男性被告人と接見中、「拘置所の職員から殴られた」と相談されたため、被告人の右頬の傷を撮影。気づいた刑務官から強く求められ、消去したという。意見陳述で、田辺弁護士は「拘置所の行為は被告人の防御権を侵害する」と主張。国側は、田辺弁護士と刑務官の当時のやり取りの一部について否認する答弁書を提出した。次回以降、接見中の撮影禁止の理由について明らかにする方針という。(読売9.14)

● 佐賀 障害者取り押さえ死 警官の無罪確定へ 付審判上告棄却
 佐賀市内で2007年、知的障害者の安永健太さん(当時25歳)が警察官に取り押さえられた後に死亡した問題で、付審判の決定で特別公務員暴行陵虐致傷罪に問われた佐賀県警巡査部長・松雪大地被告(32)について、最高裁第2小法廷は18日の決定で、検察官役の指定弁護士の上告を棄却した。無罪とした1、2審判決が確定する。安永さんは07年9月25日、車道を自転車で蛇行運転してバイクに追突するなどし、巡査部長らに取り押さえられた。直後に意識を失い、病院で死亡が確認された。巡査部長が安永さんを拳で殴ったかどうかが争点となり、1審・佐賀地裁は、暴行を見たとする通行人の目撃証言について、「取り押さえの行為を見誤った可能性がある」と判断。巡査部長の無罪を言い渡し、2審・福岡高裁も支持した。問題を巡っては、安永さんの父、孝行さん(51)が08年に刑事告訴。佐賀地検は嫌疑なしの不起訴としたが、孝行さんの付審判請求に、同地裁が09年、審判開始を決めた。上告棄却について、孝行さんは「想定していた結果なので落胆はしていない」とした。県を相手取って慰謝料など約4200万円を求める損害賠償請求訴訟を佐賀地裁に起こしており、「民事訴訟で取り押さえ行為と息子の死との関連をはっきりさせたい」と話した。(読売9.21)

● 再審受刑者 釈放認めず 弁護側「不当な決定」
 大阪市東住吉区で小6女児が死亡した放火殺人事件で無期懲役が確定し、3月に再審開始決定が出た母親の青木恵子(48)、内縁の夫だった朴龍ヒロ(ぼくたつひろ)(46)両受刑者の刑の執行停止(釈放)を求める弁護側の特別抗告を最高裁が棄却したことについて、両受刑者の主任弁護人の斎藤ともよ(大阪弁護士会)、乗井弥生(同)両弁護士は20日、「不当な決定で、再審請求抗告審で引き続き2人の無罪を明らかにする」との声明を出した。弁護団の別の弁護士は、読売新聞の取材に「あまりに期待はずれ。今回の最高裁決定で、刑の執行停止決定がいったん出ても『検察が抗告すれば釈放しない』という流れができてしまう」と語った。(読売9.21)

● 「口内タオルで死亡」遺族が損害賠償提訴 
 愛知県瀬戸市の男性(当時22歳)が低酸素脳症に起因する敗血症で死亡したのは、愛知県警の警察官が口内にタオルを入れたためなどとして、掛川市に住む両親が24日、国家賠償法に基づき、同県と同県瀬戸市に慰謝料など約8432万円の損害賠償を求める訴訟を静岡地裁に起こした。提訴後に記者会見した両親の弁護団によると、男性は2009年10月12日、知人の車を傷つけたとして、器物損壊容疑で愛知県警の警察官に自宅で事情聴取を受けた際、自ら包丁で首に傷を付けた。このため、警察官4人が男性を押さえ、舌をかんで自殺させないよう口にタオルを入れたという。男性は瀬戸市消防本部の救急隊員6人に搬送されたが、約20分後に心肺停止状態になり、18日後に敗血症で死亡した。弁護団は「警察官は気道確保をせずにタオルを口に入れており、警察官と救急隊員は心肺停止になるまで男性の容体の変化に気づかなかった」などと主張している。男性の両親は10年8月、業務上過失致死容疑で愛知県警の警察官と救急隊員を同県警に告訴したが、同年12月、不起訴とされた。11年10月、名古屋検察審査会に不服を申し立てたが、今年3月、不起訴相当と議決された。(読売9.25)

● 名古屋刑務所暴行死傷 元受刑者らの勝訴確定
 名古屋刑務所(愛知県みよし市)での革手錠による暴行で受刑者が死傷した事件で、死亡した受刑者の遺族と負傷した元受刑者が、国と元刑務官らに損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(須藤正彦裁判長)は3日の決定で元刑務官5人の上告を退けた。原告側の勝訴が確定した。1、2審判決は、同刑務所で2001?02年、当時の刑務官らが革手錠をきつく締め付ける暴行を加えたことで、受刑者2人が死傷したなどと認定。国に計約8900万円の賠償を命じた。さらに、国が暴行に関与した元刑務官5人に対し、この賠償額の大半の支払いを求めることができるとしたため、5人が判決を不服として上告していた。元刑務官5人のうち4人は特別公務員暴行陵虐致死傷の罪に問われ、今年5月に執行猶予付きの有罪判決が確定し、失職した。(読売10.6)

● 警視庁の取り調べ違法 無罪男性へ賠償
 女性のスカート内を盗撮しようとしたとして、東京都迷惑防止条例違反に問われ、東京高裁での控訴審で逆転無罪が確定した横浜市の20歳代の男性が、違法捜査で精神的な苦痛を受けたとして、国と都に1100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が12日、横浜地裁であった。小川浩裁判長は警視庁の取り調べの違法性を認め、都に110万円の支払いを命じた。原告側代理人によると、男性は2008年に都内の地下鉄駅構内で、スカート内を盗撮しようとした疑いで警視庁の取り調べを受け、東京地検に在宅起訴された。1審では有罪となったが、10年1月の控訴審判決では「誘導による供述や捜査官の作文の疑いがあり、自白調書は信用性に欠ける」として無罪を言い渡した。12日の判決では、取り調べを担当した警視庁の警察官について、「机をたたくなど威圧的な取り調べを行い、虚偽の自白調書を作成した」などと指摘し、取り調べの違法性を認定。一方で、東京地検の捜査の違法性は認めなかった。(読売10.14)

● 「不当な捜査、怠慢」運転手不起訴 国、都相手に賠償訴訟=多摩
 青梅市の路上で交通事故に遭い、死亡した同市の小学生鈴村幸子さん(当時7歳)の両親が15日、立川市内で記者会見し、「不当な捜査や怠慢などが原因で運転手が不起訴になり、警察と検察に、被害者としての権利を侵害された」として国と都を相手取り、慰謝料などを求める国家賠償請求訴訟を起こしたことを明らかにした。提訴は7月27日。(読売10.16)

● PC遠隔操作 大阪の男性 起訴取り消し 津の男性 誤認逮捕 三重県警が謝罪
 ウイルス感染したパソコンなどから犯行予告が書き込まれて4人が逮捕された事件で、大阪地検は19日午前、偽計業務妨害罪で起訴していたアニメ演出家・北村真咲さん(43)(釈放)の起訴を取り消した。検察が別人による犯行の可能性が高まったとして起訴を取り消すのは異例。また、三重県警は同日、威力業務妨害容疑で逮捕した津市の無職男性(28)(釈放)に対し、誤認逮捕を認めて謝罪した。一連の事件で、警察が謝罪するのは初めて。(読売10.19)

● 飯塚事件再審請求 「第三者のDNA」弁護団発表
 1992年に福岡県飯塚市で女児2人が殺害された飯塚事件を巡り、2008年に死刑が執行された久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚(執行時70歳)の遺族が行った再審請求で、再審弁護団は25日、福岡市で記者会見し、DNA鑑定の結果を撮影したネガフィルムを解析した結果、第三者のDNA型が確認されたと発表した。弁護団は同日、「証拠が改ざんされ、真犯人のDNA型が隠蔽された」との意見書を福岡地裁に提出した。弁護団によると、地裁は検察側に、ネガを保管していた警察庁科学警察研究所(科警研)に他の資料が残っていないか調査するよう勧告した。(読売10.26)